患者さんから頂いた言葉を励みに
私たち梶原眼科は、昭和62年3月に佐世保市三浦町で開院し、以来“心のこもった診療” をモットーとして、スタッフと共に頑張ってまいりました。
ご承知のように医療技術の進歩は目覚ましく、私も出来るだけ良質の医療を提供したいとの思いから有効と思われる治療法は積極的に取り入れてきたつもりです。
私は、昭和55年3月に佐世保市総合病院へ赴任し、以来佐世保市での眼科診療に携わってきました。当時は眼科手術の大きな転換期に当たり、手術用顕微鏡の使用が一般的となり、白内障手術はそれまでの水晶体全摘出術から超音波白内障手術、眼内レンズ挿入術へと進化しつつあり、また硝子体切除吸引術も一部の施設で行われ始めていましたが手術後の成績は安定せず賛否両論が交錯し一般的にはまだ認知されてない状況でした。
ただ、眼内レンズの挿入は患者さんにとってはメリットが大きく、硝子体手術も網膜剥離や眼底出血を繰り返し失明寸前の患者さんにとっては最後の手段になると思われ、佐世保でも眼内レンズ挿入術や硝子体切除吸引術を行うことに致しました。
患者さんにより良い視力を回復していただきたいとの一心で行なっていましたが、幸いにも大過なく続けることが出来たのは、術後に患者さんから頂いた『生まれ変わったようです』『いい冥土の土産が出来ました』等のお礼の言葉が大きな支えとなっていたと思います。
その後、手術法は著しく進化し、眼内レンズも改良され、白内障手術では眼内レンズ挿入は当たり前のこととなり、また硝子体手術も手術機器の改良が進み現在では糖尿病増殖網膜症や網膜剥離の手術方として確立されています。
佐世保に来て早いもので40年が経過し、多くの患者さんに恵まれ、多くの事を学ばせて頂きました。この40年間に私が行った手術件数は、約26,000件で、やはり白内障手術(眼内レンズ挿入術)が約21,500件で最も多く、次いで緑内障手術や網膜硝子体手術で、他に翼状片手術も多く、眼瞼手術、斜視手術、角膜移植等も行わせて頂きました。尚、レーザー手術、霰粒腫手術等はこの件数から除外しました。全例局所麻酔で行いましたが、特に初期の患者さんや、困難だった手術での患者さんとの対話が今も思い出されます。
最近、私もあまり無理が利かなくなってきましたが、これまで与えて頂いた貴重な経験を生かしもう暫く現役で頑張ってみようと思っています。
令和元年6月1日
医療法人 梶原眼科医院
院長 梶原 喜徳